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後天性ファンコーニ症候群

こんにちは。

最近ではペット用のご飯はもちろんのこと、おやつも数多くの種類があり美味しいものもたくさんありますね。

可愛い我が子のご褒美やコミュニケーションのためにおやつをあげる方もたくさん居らっしゃるのではないでしょうか。

しかし、そんな美味しいおやつにも実は隠れた危険が潜んでいるかもしれません。

 

今回はペット用おやつの過剰摂取で予期せぬ病気になってしまった症例をご紹介します。

本症例は多飲多尿、食欲不振の主訴で来院した9歳の雑種犬です。この子は中国産チキンジャーキーの過剰摂取によりある病気になってしまいました。その病気とは、ファンコーニ症候群というものです。

ファンコーニ症候群とは腎臓の尿細管が何らかの原因で障害され、尿細管の再吸収機能不全を引き起こす疾患です。それにより、血糖値は正常にも関わらず尿中にブドウ糖が漏出し、その他アミノ酸やミネラルなど多くの栄養素も尿と一緒に出ていってしまいます。発症した犬は多飲多尿、体重減少、毛のパサつき、排尿の失敗などの症状がみられ、発症初期には元気食欲はあり一見問題なさそうに見えますが、その症状が続くと体内の酸塩基平衡、代謝、栄養バランスなどが乱れ、重症化すると命にも関わってきます。

本症例は、多飲多尿(>100ml/kg/day)、体重減少、食欲不振などを示し、尿検査では尿比重の低下とブドウ糖が検出され、血液検査では血糖値は正常でした。また、静脈血の血液ガス分析によって代謝性アシドーシスがあることがわかりました。

そして入院下での点滴管理によってミネラルバランスや代謝性アシドーシスの補正を行うことで状態は改善していきました。

その後無事に退院し、投薬は引き続き必要ではありましたが元気に過ごしています。

 

この子がファンコーニ症候群になってしまった原因はおやつの過剰摂取です。飼い主様のお話では中国産の鶏ササミジャーキーを幼少期からほぼ毎日あげており、特に最近では1日9本ほどあげているということでした。

ファンコーニ症候群の原因には先天性と後天性があり、多くは先天性でバセンジーという犬種に遺伝的にファンコーニ症候群が多く見られます。後天性の原因には重金属や化学薬品による中毒などがありますが、最近ではペット用のジャーキーも原因となり得ると言われています。しかし、その原因までは未だ特定されておらず、ジャーキーの一体何が悪いのかは不明です。

もちろんそのようなペット用ジャーキーのすべてがこのような病気を引き起こすわけではありません。しかしながら、過剰摂取による病気のリスクが、稀ではありますが存在するのも事実です。何事もやりすぎには注意ですね。みなさんもおやつのあげすぎには十分注意してください。

 

文:舟山 卓

 

 

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