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膀胱ではなく!腎臓から膀胱まで尿を運ぶ尿管に、結石ができてしまった猫の症例

こんにちは

最近めっきり寒くなってきました。寒くなってくると動物たちも体を冷やさないようにするため、色々な行動をとります。その一つとして、水をあまり飲まなくなります。すると尿をつくる量が減るため、どうしても膀胱の中に尿を貯めている時間が長くなり、膀胱に結石ができやすくなってしまいます。膀胱にできた結石は、膀胱の粘膜を傷つけたり細菌の温床になったり、男の子では尿道につまってしまうことがあるので、是非注意して下さい。

さて今回はその膀胱ではなく、腎臓から膀胱まで尿を運ぶ尿管にその結石ができてしまった猫の症例が続いたので紹介します。

一つ目の症例は、他院から手術の依頼を受けた症例です。5歳の去勢済みの猫で、以前より尿中にストラバイト結晶という尿結石の結晶が出るということで療法食を食べている子でした。元気と食欲が低下して腰のあたりを痛がるという主訴で来院され、検査を行ったところ尿検査で潜血反応、血液検査で腎臓の数値上昇・画像検査で右の腎臓に水腎、水尿管があることが確認されました。(水腎、水尿管とは腎臓で作られた尿が尿管を通り膀胱に流れる途中で閉塞を起こし、その手前で尿が貯留してしまう状態をいいます。)そこで尿管の結石を疑って尿路造影検査とCT検査を行い、やはり右の尿管に結石が確認されたため手術を行うことになりました。

手術は開腹し尿管の結石を取るのですが、猫の尿管はとても細く、切開して結石を取りだし縫合した場合にその縫合部が治る過程で閉塞してしまう危険性もあるため、結石ができている部位から膀胱までの尿管を切除し、拡張してしまっている尿管を直接膀胱へ繋げる尿管転植術という術式を用いました。

注:気分を害する場合がございます。閲覧にご注意ください。

0.1mmにも満たない細い糸(細いまち針の1/5程の太さ)を用いて膀胱と尿管を繋ぐという、とても細かい手術でしたが無事に終了しました。

手術後しばらくは、転植した尿管から膀胱内を通って体外に尿を排泄するためのカテーテルを入れたままにしておかなければならないため管理は大変ですが、術後一週間で右の腎臓機能の回復の兆しが見られ、一か月後には右側の腎盂の拡張は大幅に改善され、4.6mmにまで拡張していた尿管も0.9mmを切るほどに縮小していました。

数値だけでなくこの猫ちゃんは元気もありご飯もしっかりと食べ始めてくれ、今では元気一杯だそうです。人間でも尿管結石ができると背中から腰に激痛が走るといいますが程度の差はあれども、動物でも同じ症状が出るのですね。

二つ目の症例は、スケーリング(歯石除去)を希望して当院へ来院されましたが、安全に麻酔が行えるかどうか血液検査やレントゲン検査を行ったところ、血液検査で腎臓の数値がやや高く、レントゲン検査で左の腎臓内結石が確認されました。そこで超音波検査を行うと、左側の腎臓に水腎と水尿管があることがわかりました。話をよく聞いてみると最近よく水を飲み、よく排尿をするようになったとのことでした。また、まれに赤みがかった尿をするとのことで、やはり尿検査でも尿中に重度の潜血反応と細菌感染がありました。さらに、静脈性尿路造影検査と逆行性尿路造影検査を行って、左側の尿管に結石がある事が明らかになりました。

開腹すると、左側尿管の膀胱近くに小さな結石があり、そこから腎臓までの尿管全域がやや拡張している状態でした。そこで今回も拡張している尿管を膀胱に転植する手術を行いました。

今回の猫ちゃんは、残念ながら腎臓の障害が多少残ってしまい血液検査上では腎臓の数値がやや高い状態なのですが、拡張していた尿管は改善しており、血尿や頻尿も収まっています。

尿路の結石は結晶が固まって結石になるのですが、今回の二つの症例はどちらも術前の尿検査において結晶は出ていませんでした。もちろん結晶が出ている場合もあるのですが、尿中に結晶が出ていないからと言っても今回のようなケースも少なくはないので安心はできません。また冒頭に紹介した膀胱・尿道結石の場合は結石がレントゲン写真に写ることが多いのですが、尿管結石は尿管が細い上に便などの腸内容物に隠れてレントゲン写真では見つけにくいことも多く、超音波検査によって腎臓と尿管を確認する必要があります。

尿管結石により尿が排泄できない状態が続くといずれ腎臓が機能しなくなってしまいます。そのため腎臓に障害が起きる前に尿管の閉塞を解除しなければなりません。早期発見が出来ればこの病気は、簡単な手術ではありませんが、治療することが可能です。手術をせずに悪化した場合、尿の排泄が滞り腎臓が水腎になってしまい、その状態が長く続くと腎臓の機能が失われてしまい、最終的には腎臓摘出を行わなければならないこともあります。

どんな病気も早く気付いてあげることが出来れば治療の幅は広がります。今回のように腰部痛などの意外なところから意外な病気が見つかることもあります。何か動物たちの異変に気付いた時は、早めにご相談ください。

執筆担当 玉野

コメント

  1. 市脇 より:

    我が家の7才の雄ねこですが、先週から食欲がなく元気がないため行きつけの病院で診察したところ、左の腎臓に腫れがあり、CT検査の結果、尿管欠席による詰まりがみつかりました。結石は他にも左腎臓内、膀胱内にもありました。
    その前日の検査では腎臓に腫れがあるものの血液の数値には問題がない状態でした。
    この場合、治療として一番有効なのはやはり開腹術でしょうか?その病院では1日置きに点滴をして結石を押し出されるの待つと言っていますが、そんな呑気にしていていいものかがわかりません。
    愛猫は、昨日から食事、水をほとんど取っておらず、元気もありません。
    水、食事は無理にでもあげたほうがいいんでしょうか?
    ぜひご意見をいただければ幸いです。

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